11月5日、京都文化博物館において、特撮テレビドラマ『仮面の忍者 赤影』第1話、第10話が上映されました。
本作は、豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃、琵琶湖の南に“金目教”という怪しい宗教が流行っていた…」という設定のもと、巨大な凧やパラソルに乗って姿を現す赤影や巨大なロボット「金目像」が登場するなどSF的要素が含まれているのが魅力の作品である。

上映後は、アニメーション監督の大地丙太郎、『仮面の忍者 赤影』の製作を支えてきたもと東映京都テレビプロの北村良一さん、藤井雅朗さんによるトークショーが開催されました。大地さんはこの日のために忍者衣裳を特注し、忍者刀を担いでの登場にファンからの喝采を浴びていました。

■制作進行の仕事
大地「僕もアニメーションの仕事をしているんですが、アニメにおける制作進行とだいぶ名前の響きと内容が違うものなので、少し映画制作あるいはテレビ制作における制作進行のお仕事を教えていただけたらなと…」

北村「関西テレビの方から『赤影』を作ってくれないかという依頼があり、プロデューサーたちが、「じゃあ、やろうじゃないか」と作られた作品でございます。製作進行の仕事としましては、本屋さんを回り、原作を探しそれにしたがって案を書いて監督などにお許しをもらったあとからの仕事です。そこまでがプロデューサーの仕事、そこからが製作の仕事になります。」

大地「ちょっと今のお話に関連してお訊きしたいんですけれども、関西テレビのオファーだったんですか?そうすると『赤影』の世界観みたいなのは、テレビ局の要望が多かったのですか?」

藤井「現場専門でしたので、制作的な全体のことはよくわからなかったですね。」



■第10話の現場
藤井「この作品は47年くらい前なんですよ。僕は26か27歳でした。連日大変だったんですよ。大方徹夜徹夜で…。この10話でこうもり軍団の撮影で、僕は疲れて制作やりながら朝6時ごろにバタンと倒れてしまいまして、担架がないですから時代劇らしく戸板で運ばれまして…そのころの会社のみなさんに大変迷惑をかけた思い出のある作品です。全体の中で一番辛かった作品がこの10話なんですよ」

「ご覧になったと思いますけど、こうもり軍団のこうもりが一斉に出てくるシーンありましたよね。洞窟の中から。あのカットで大方もう徹夜ものでした。洞窟の断面に模型のこうもりを、下からロープをテグスで上から下へ穴通しながら調整する。これをすべて行ったんですよ。テグスで吊っていざ出陣って時には、そこでパーンと割れて終わりのシーンなんですけど、そのこうもりをどうするかっていうと、テープですべて留めておいて反動で割れるようにするんですよね。でも、これがうまくいかなくてね、「いくぞ、本番!!」って時にひとつが先に割れたりして、撮り直し。要するに、これがいっぺんに割れないとOKにならないんですよ。これでほとんど徹夜ですよ」

「それと、こうもり軍団が黒煙を撒きながらカメラに襲ってくるシーンもあったんですけど、これも徹夜ですよ。こうもりの背中に黒いスモークをつけ、カメラの中心をセンターに持ってきて、紐をみんなひとり一本持って、合図とともに一斉に離すと、センターで紐が絡まってステージ上が真っ黒になったんですよ。煙だらけで写っていない。もう一回やるにしても煙をセットから抜く必要がある。これも徹夜ですよ。そのカットが終わって僕が倒れたんですよ(笑)」

大地「実写では全員で取り掛かるんですね。そのとき役者さんはどうしてらっしゃるんですか?」

藤井「スタッフは大体24~5人しかいないんですけど、ふつうは撮影部は撮影、録音部は録音のみをやるわけですが、この作品だけは全員手伝わないと終わらないんです。全員何がなんでもやらないと帰れない。」

北村「こういった特撮ばかりの時代劇を作ったことがなかったんですよ。だから、体制ができていなくて『素浪人月影兵庫』と同じスタッフ編成でした。いまならば、キャラクターを作る係り、特撮カットを撮る班、ポストプロで合成作業をする係りを作り、業務分担をして撮影に取り掛かると思います。体制が出来ていない中で作るため、スタッフにムリがかかる。徹夜仕事を続けないと終わらない作品でした。そのうえ第一話の倉田監督が凝り性で、1週間のうちにクランクアップしないといけなくて、作ってる僕らは監督に早く作ってもらい、スタッフに頼み込んで徹夜で仕事をしたことがあります。」



■監督のアイデア
大地「『赤影』が初めてのカラー映画だったんですね」

北村「カラーで忍者映画っていうのが売りだったんで」

大地「貝に耳をあてて、通信機の音が鳴るじゃないですか。はぁ!?みたいな(笑)」

北村「そうなんですよ。僕、制作側で作るんですけどね、ある日試写を見たら、サイレンがなってるんですよ。これは、困ったなとえらいもん入れてくれたなと」

大地「そう思うと倉田監督はすごいですよねぇ。」

北村「監督のアイデアでえらい目に合うんですよ(笑)」
「キャスティングして衣装合わせをするんですけどね、そこで監督が女優さんに無茶なことを言うんですよ。メイクだとか衣裳のアイデアを。こりゃ、べっぴんさん使えへんぞって(笑)。映画に出てくる衣装はね、倉田監督のアイデアばっかりなんですよ」

大地「あの、凧に白影が乗ってくるだけで相当重かったんじゃないですか?」



藤井「あれは、今の映画村の一角で空地を利用してます。大クレーン車があるんですけど、撮影所に借用書を出してクレーンを借りて、効果班といって専門の班がいるんですが、ウチにはいないから、みんなで大クレーン車を取りに行って撮影所から映画村に運んで、伸ばして吊ってカット。このカットだけで3日はかかりましたね。3人が乗ってる大きな凧があるんですけど、そのバランスを取るのが大変で、3人が乗ってるためにまっすぐ飛んでくれないんです」

大地「合成とかどうされていたんですか?」

北村「青いバックで人物を抜いて、特撮でやった技術を最大限利用してましたね」

藤井「アイデアを了承してくれるかって打ち合わせだけでも1~2日はかかりましたね。倉田監督はスタッフからアイデアを募るんですが、出しても出しても終わらない。しまいには口を開けば遅くなると思って、僕らは黙ってました。」

「一番しんどかったのは、大きいものを小さくする、小さいものを大きく見せるってのがね、今なら簡単なんでしょうけどね、35㎜フィルムの当時はあれが精一杯でした(笑)」