12月7日『フライング・ギロチン』上映前に、ヒストリカ・ナビゲーターの飯星景子さんと関西ウォーカー編集長・玉置泰紀さんによるヒストリカ・トーク「ケイコママの武侠映画虎の巻」が京都文化博物館で行われました。

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飯星「『フライング・ギロチン』は監督がアンドリュー・ラウ、プロデューサーがピーター・チャンで」

玉置「ギロチンといえば、ジミー・ウォング」

飯星「元ネタは『片腕カンフー対空とぶギロチン』が有名ですが、さらに元ネタがあって、それが『空飛ぶギロチン』。チェン・クアンタイ主演です」

玉置「クエンティン・タランティーノは『片腕カンフー』の方が大好きで『キル・ビル』でも無許可で音声使ったりしてますね」


玉置「ギロチンというと、血なまぐさいイメージですが」

飯星「それが、先日シュ・ハオフォン監督とトークショーを行ったときに、雍正帝の時代に、皇太子の取り巻きの子どもが血滴子と呼ばれ、その中から成長後、隠密行動を取る人を選抜したと聞きました」

玉置「史実なんですか?」

飯星「監督は文献があるとおっしゃってました」


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玉置「ギロチンというSF的な武器が出てきますが、『ラスト・エンペラー』のように豪華で重みのある歴史映画ですね」

玉置「衣装が綺麗ですね。乾隆帝は、昔の図版に出てくるそのままの衣装で。清国の部隊もカッコいい」

玉置「ピーター・チャンは、重厚で妥協が無いですね」

飯星「アクションが凄いです。中国では3D上映してたんですよ(日本では2D上映)」


飯星「ピーター・チャン作品は女性が素敵ですよね。リー・ユーチュンもカッコいい、重要な役でした」

玉置「あれはツンデレなんですよ!」


飯星「監督のアンドリュー・ラウは元カメラマンで、ウォンカー・ウェイ監督作品の初期カメラマンです」

玉置「“カメラをクリストファー・ドイルに教えたのは俺だ”って言ってるくらいです(笑)」


飯星「俳優がフレッシュですね。ホァン・シャオミンは非常に二枚目ですが、そんな彼がイエス・キリストっぽい格好で出るという事前情報も話題になりました」

玉置「現実の中国の問題も、反映してるんでしょうね。ピーター・チャンは、今までのびのびやってきて、香港が返還されてから、当局が脚本に口出しするようになってきたことに悩んでいたはずです。それを踏まえると、この映画は非常に意味深ですね。昔から、中国映画は、明の時代に戻そうという復明が盛んですから」

飯星「この映画も、満対漢ですしね」


飯星「ピーター・チャンの新作は『アメリカン・ドリーム・イン・チャイナ』。この映画は天安門には直接触れていません。しかし、通訳の人が書いた文章を読んだところ、1984年に登場人物がアメリカ人に振られて髪を切り『これで僕の時代は終わった』というセリフがあって、それが天安門を表しているというのです」


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飯星「香港映画って、中国の映画に比べると、歴史にいい加減ですよね。弁髪剃ってないし、なでつけてるだけって!」

玉置「シュ・ハオフォン監督みたいな中国映画とは、対照的ですね。中国では、国が運営する学校を出た人が監督になりますからね」

玉置「そう思うと、シュ監督みたいな正当派中国映画も、『フライング・ギロチン』みたいな香港映画も見られる映画祭は、貴重な機会ですね」


玉置「『フライング・ギロチン』にはジミー・ウォング(血滴子リーダー役)も出てるんですよね。渋く、風格が出てましたね」


飯星「彼は、『失魂』という台湾映画で賞を取ってるんですが、私には田舎のおっちゃんにしか見えないんです」
(客席から「あんなに怖い田舎のおじさんはいません!」というツッコミ)
飯星「しかし、この映画を見た友人曰く“ジミーさんが穴を掘ってるだけで怖かった”そうです。
『捜査官X』では、ジミーさんは怪獣のようでしたからね。この『フライング・ギロチン』では武器とか大砲とか色々な物が空を飛びますが、ジミーさんは飛びません(笑)」

飯星「ショーン・ユー君も出てますね。主人公の義兄弟役で。彼は『恋の紫煙』シリーズでは、お前どっちなんだ? ハッキリしろ! という、頼りない役でしたが」

飯星「彼が弁髪を切られるシーンがあります。『孫文の騎士団』でもありましたが、役職のある人が弁髪を切られるというのは、非常にショックなことなんですね」


玉置「映画を観終わった後に、また語りたいくらいですね」

飯星「それでは、みなさん、お楽しみください」


ボランティア・スタッフ 中 育穂