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11月10日「伊賀忍法帖」上映後、福本清三氏(俳優)、菅原俊夫氏(殺陣師)によるトークが行われました。
聞き手は、木村立哉氏(東映太秦映画村映画資料館)です。
撮影OK。帰りに、ヒストリカのトートバッグかパンフレットを購入した方は、福本さんにサインを貰えるというサービスがありました。

木村:お二人は昨日まで、トム・クルーズさんに呼ばれて、東京に行かれてたそうですね。

福本:「ラスト・サムライ」から十数年ぶりに会いました。

木村:トム・クルーズさんの新作は「アウトロー」の続編「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」だそうですね。
ところで、「伊賀忍法帖」では、真田広之さんが撮影で危険な目に会われたとか。

福本:広くんが、ターザンみたいに敵に襲いかかるシーンです。
敵役の私と広くんが、タイミングが合わずにカメラに突っ込んで、カメラマンごと3メートルくらい吹っ飛んでしました。
それでも、その映像はOKになりました。

木村:菅原さんは、全体の殺陣をつけたそうですね。

菅原:難しかったですね。アクションで、広くんと福ちゃんしか動ける人がいないんです。
蛾次郎は、池で死ぬシーンがあったけど、泳ぎもダメ。
成田三樹夫さんは、何もしなくていい役で幸いでした。
広くんは、日舞の名取りで、無駄な足運びがない。

木村:真田さんが「怪盗ルビイ」で、自転車に乗れない演技を自然にされてましたが、あれもそういう下地あってこそですね。

菅原:私が、広くんに殺陣をつけて「無理なところがあれば変えていい」って言っても、絶対変えない。
千葉真一は足下にも及ばない。
広くんみたいな人は、二度と現れないでしょうね。

木村:この頃、真田さんの作品っていっぱいありますね。
1・2年のうちに10本くらい出てる。「忍者武芸帖 百地三太夫」「魔界転生」「吼えろ鉄拳」「冒険者カミカゼ」「燃える勇者」「里見八犬伝」など。

菅原:深作欣二監督曰く「広くん抜きではアクション映画は撮れない」ということです。
広くんはその頃、毎日脚本を数冊持ってました。

木村:よく混乱しませんね。

菅原:頭がいいんですよ。
広くんは、京都に来ると緊張してたよ。福ちゃんがいるから。

福本:何言ってんだ(笑)

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菅原:千葉さんも、福ちゃんには一目置いてたしね。
あの頃、楽しかったね。朝、疲れすぎて起きられなかったけどね。

「伊賀忍法帖」の斎藤光正監督も亡くなってるし、深作監督も。
みんな消耗して、旅立ちが早いんだよ。我々も呼ばれてるよ(笑)

福本:大仏のセットは、1億5千万かかってます。実寸大で建てたんです。

菅原:火災シーンで何人か死にかけたね。

木村:またですか!

菅原:炎があがってるの、CGじゃないよ。本物だからね。
カメラは上から撮ってて、火は下からあがってくる。急に勢いが増して、広くん死にかけてたよ。
僕とカメラマンの森田富士郎さんも、危うく逃げられなくなるところで、必死で逃げた。

<客席から、特撮班のカメラマンだった宮島正弘氏登場>

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宮島:私も火傷しました。
大仏の上にセットを組んで、そこから撮ってたんです。

大仏は、胸から上は無いんです。ちょっとでもカメラがズレると、上半身が無いのがバレちゃう。
たまたま、照明部さんが電気を一つ付けてくれてて、それを頼りに逃げました。それが無かったら、煙でハシゴの位置が分からないところでした。

菅原:斉藤監督は、安全な下の方で「大丈夫か ねー」とか、のんきに言ってるの(笑)
深作さんも言ってたけど「CGでやると感動ない」って。
だから我々、死にかけても必死でやる。

木村:大仏って、全部が実寸大ですか?

宮島:首から上は絵で、合成してます。
大仏が燃えるシーン、建物の外景と、首ゴロンは1/4スケールです。
炎は、大きさがごまかせないので、小さくし過ぎるとダメなんですよ。

カメラマンの森田さんは「大魔神」を撮った、特撮の凄い人です。今はああいう人はいない。

この頃の特撮は、スクリーン・プロセスと言って、スクリーンの前で人が演技します。
勘で作ってます。現像して、映像を見てみないと、上手く撮れてるか分からないのです。
とてもお金と時間がかかります。

木村:菅原さんは、真田さんのほとんどの作品で、殺陣の振り付けを担当してるんですよね。

菅原:広くんについていくのが大変です。
広くんができても、周りの人ができなければバランス悪いですからね。

木村:お二人は東映剣会に参加されてるんですよね。

菅原:私は卒業しました。

木村:ジャパンアクションクラブと剣会って、よく一緒に映画を作ってますよね。

菅原:剣術とアクションを融合するのは大変です。飛んだり跳ねたりするアクションと、静と動がある殺陣とそれぞれに誇りがあって、
揉めて、私が孤立した時に、福ちゃんが「どっちが強いか勝負しよう!」と言ってくれて、丸く収まったことがありました。

木村:ある映画で「アクション監督:千葉真 一、擬斗・菅原さん」となってたんですが、どういう役割分担なんですか?

菅原:アクション監督は、俳優をおだてて、怪我の無いように進めるのが仕事。
千葉さんは俳優で、演出の勉強してないから、監督やるのは無理があるんですよ。
「戦国自衛隊」で毎日喧嘩してました。
「俺もう降ります」って言ったら、角川春樹さんに「まあまあ」となだめられました。
千葉さんは「自分がアクションできるから皆もできる」と思っちゃう人なんですよ。できません!

福本:広くんは、明日か明後日、日本に帰ってくるんですよね。

菅原:日本には、広くんを活かせる作品はないね。

木村:「ラスト・サムライ」で、真田さんが踊るように斬るシーンがありますが、短いですね。

菅原:試写で、広くんが主役より遙かに目立っちゃったから、カットしたそうです。
広くんがトム・クルーズにアクション教えてたくらいだから。
広くんが「侍はこんなことしない」って、監督に助言してれたおかげでいい映画になったね。
ヤシの木が生えてるのは、あれ?って思ったけどね(笑)
刀の置き場所で揉めたこともあったね。

木村:忍者が襲ってくるシーンもありましが、あれは仕方ないんでしょうね。

菅原:「伊賀忍法帖」では、広くんが渡辺典子を馬に乗せるシーンあったけど、今では危なくてああいうシーンは撮影できないね。
広くんだからしっかり安定してるけど、人を横抱きして馬に乗るって危ないんだよ。

(ヒストリカボランティアリポーター:中 育穂)