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11月2日、「グランド・マスター」上映前、香港国際映画祭・エグゼクティブ・ディレクターであるロジャー・ガルシア氏による解説が行われました。

「京都ヒストリカ国際映画祭」にご招待いただきまして光栄です。
特に、阿部勉・実行委員長にはお世話になりました。
私の好きな山田洋次監督の「京都太秦物語」の共同監督をされたと聞いて、今日はその話だけしたいくらいです。

アジア・フィルム・アワード・アカデミー(AFAA)は、東京国際映画祭、香港国際映画祭、釜山国際映画祭が共同で、2013年に創設したものです。
若い人材の育成と交流に力を入れています。
今回、ヒストリカ映画祭では、AFAAから5本の映画を上映します。

「グランド・マスター」は2013年に上映された作品です。
武術映画は、1920年代に上海で制作が始まりましたが、1949年の革命後、大勢の難民がイギリス統治下の香港に流出した後は、香港で栄えました。
華北と江南のカンフーはライバル関係にあり、かなり違います。
華北は、足使いを重要視します。江南は、鋭いパンチを武器にします。

黄飛鴻は、1940年代以降、映画の中で神格化されていきました。
黄飛鴻の映画では、特殊効果は一切使用せず、純粋にカンフーのみが描かれています。

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ブルース・リーは、葉問に詠春拳を学んでいました。
葉問も神格化され、彼を主人公とした映画は、8本ほど制作されています。

ウォン・カーウェイ監督は、葉問の伝記を作るのではなく、武術の世界から見た、香港と中国を描いています。
葉問だけの物語ではなく、彼を取り巻く人々の物語でもあります。
彼らとの関係は、言葉にされるものではなく、感じ取るものです。

愛や人生の挫折、ほろ苦い記憶、また、もしあの時に別の選択をしていれば、という思いが描かれています。
最近のカンフー映画のようなファンタジー色はなく、カンフーの原点に立ち返る作品です。

撮影は非常に精緻です。
手の動き、型が素晴らしいです。
単なる筋力ではなく、内なる力で戦っているのです。

トニー・レオン、チャン・ツィイーは、カンフーを習得するため何年もかけました。
トニー・レオンは、過去と未来に囚われた男を見事に演じています。

葉問はカンフー協会の会長となり、「伝統を守るためには、伝統から離れなければいけない」と考えていました。
トニーとチャンが戦ったシーンに現れています。木の椅子が壊れるシーンが象徴的です。

(ヒストリカボランティアリポーター:中 育穂)