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11月4日、「わたしが棄てたナポレオン」上映後、ジョルジア・ファリーナ監督と大西文二氏によるトークショーが行われました。通訳は、そうみやあやこ氏です。

高橋剣氏(東映株式会社)解説:ヒストリカ(歴史)映画祭なのに、この映画は現代劇です。
なぜ選ばれたかというと、京都ヒストリカ国際映画祭には上映プログラムだけでなく、時代コスプレイベントも企画コンテストもあります。そして、世界の若手クリエイターと太秦の映画職人が共に時代劇を作るワークショップが京都フィルムメーカーズラボであり、本作の監督は2011年のフィルムメイカーズラボの卒業生だからです。
そのワークショップではノルウェーの方が脚本を書いた「鞘当ての音」という7分の作品を、ジョージア・ファリーナさんが監督されました。
その時に制作進行を担当したのが、トークの相手を務める東映のテレビプロデューサーの大西文二さんです。

<「鞘当ての音」上映後、トーク開始>

大西:フィルムメーカーズラボに参加した理由を教えてください。

監督:当時、私はコロンビア大の学生でした。友達が前年のラボに参加して、とても良かったと勧められました。
普通の学生では、できないような体験ができました。世界中から人が集まってきて、知り合うことができ、今でもフェイスブック等で連絡を取り合っています。
京都は、ローマのような歴史ある街で、お寺も素晴らしい。
好きすぎて、これまで3回も来ました。

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大西:「わたしが棄てたナポレオン」は女性が強い話で、最初の長編映画も3人の女性が主役でした。先ほどのフィルムメイカーズラボの短編も女性が強い物語でした。
女性監督として、強い女性を描くことにこだわりがあるのですか?

監督:イタリアでは女性監督が少ないのです。その少ない女性監督も、ロマンチックな恋愛物を撮ることが多い。女性は、妻・母・娘として描かれがちです。
男性との関係で、恋愛以外のものも描きたかった。

女性監督で得をしていることは、大御所の女優が、私のような若手の作品に出演してくれることです。
アニータ役は、変な髪型でパワフルなので、興味を持ってくれたようです。

大西:最初の子ども部屋のシーンは、監督の男女関係観を表してますか?

監督:プロデューサーのアドバイスで「アニータがなぜ冷酷な女なのか?」という説明のために、あのシーンを入れました。

大西:アニータの眼鏡が、つるが曲がったデザインだったり、小道具や衣装がカラフルで凝っていますね。

監督:脚本を表現するのに、どういう小道具がいいか考えて、ああなりました。
私の確固たるスタイルがあるわけではなく、作品に合わせて作り上げてます。

大西:87分と短くて、テンポが良いですね。アニータが会社を首になって公園に行くシーンも、無駄な間がなく、サッと話が進みます。
監督:そうです。イタリアでは、コメディは90分が標準ですね。
ヨーロッパはスローペースですが、私はアメリカ映画の直裁的なところが好き。
テンポよく可愛らしくを目指して、不要なところはバシバシ切りました。

大西:ナポレオンとワーテルローという金魚が出てきますね。
どうしてタイトルが「わたしが棄てたナポレオン」なのでしょう?

監督:有名な監督のナンニ・モレッティ氏に「タイトルは?」と聞かれた時、とっさに脚本をパラパラめくって、目に付いた言葉をそのまま言ったら、それがタイトルになりました(笑)

大西:次の作品の予定は?

監督:脚本を提出したところです。ヨーロッパを旅して回る、上手くいっていないカップルの話です。
いつかは、日本でもロケしたいですね。

<客席からの質問コーナー>

Q 仕事と子育ての両立に苦労する、女性の友達がいます。彼女がこの映画を見たら、とても勇気づけられると思います。

A 前に来て、語って欲しいくらいです! 
私も30代前半で、周りは子育て中です。私もいずれは子供が欲しい。
イタリアでも、女性は妊娠すると職場で不利になります。
両立できると、映画を通して伝えたいですね。

Q イタリア映画というと、男優が思い浮かばくて、ソフィア・ローレンなど女優が思い浮かびます。
女性の国という印象です。
作中でも男性は、最後はパリに行ってまた詐欺を働いて、情けないイメージです。

A ビアッジョ役の俳優は、私生活でもワルです。性格が悪すぎて、一緒に仕事に仕事するのが辛いくらいです(笑)でも、冷酷な役がハマっていたのなら良かった。
日本人も出てきます。最後のパリのシーンに出てきた女の子ですね。

Q 音楽は、オリジナルと既存の曲を使われていますね。こだわりを教えてください。
A 私自身は、50年代のアメリカのサーフロックが好きです。
いい映画にはいい音楽が必要。速いペースで場面転換するので、友人のミュージシャンの曲など、様々な曲を揃えました。

Q 子役から老人まで、老若男女をどう演出しましたか?

A アーティストは大きな子どもだと思ってます。世話をして一緒に遊ぶ。楽しみながら、彼らの演技を引き出します。
どんな年代でも接し方は変えません。
理詰めじゃなく、感情に訴えて話をします。遊び心と信頼関係が大事です。

(ヒストリカボランティアリポーター:中 育穂)