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11月6日、「ホームズマン」上映前と後、監督・主演であるトミー・リー・ジョーンズ氏と、ヒストリカ・ナビゲーター・飯星景子氏による、トークショーが行われました。

<上映前トーク>

監督:京都は大好きな街なので、ここに来られて嬉しいです。
この映画は19世紀、アメリカで、ある法律ができた頃の話です。
杭を立てて、そこに二年間住むことができたら、その土地は自分のものになるという法律です。
千年前から別の人が住んでいようが、関係ありません。

その頃の女性は、家庭にいるものでした。
ミシシッピから西で、役割を果たせない 女性がいました。
ヒーローではなく、そういった女性たちに焦点を当てた話です。

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<上映後トーク>

飯星:前作から間が空きましたね。

監督:新作を発表するまで、9年かかりました。
俳優として出るだけとは違って、監督をやるのには、良い俳優、脚本を探すのに時間がかかるのです。

飯星:原作に惹かれた理由は?

監督:女性を主人公にしたかったのと、19世紀の西部の話がやりたかったのです。
原作は女性視点でした。脚本化するのに向いてると思いました。

飯星:映画はヒラリー・スワンクが亡くなった後、トミーさんの視点になるのですが、原作もそうですか?

監督:そうですね。

飯星:監督は「これはウエスタンではない」と発言されたそうですが、その意味は?

監督:西部劇かどうかはあまり重要ではなくて、19世紀のアメリカで、ミシシッピから西の人達がどういう風に生きていたか。代償がテーマです。

飯星:フェミニスト映画とも言われてるそうですね。

監督:そうかもしれませんが、それよりも人間の映画だと思っています。

飯星:映画で一番大事な部分は?

監督:天気です。
明るい日差しが出たり、雲が陰ってきたり。雹や雪が降ったり、晴れてランチをしたり。
そういう移り変わりが大事です。

飯 星:ロケ地はどこですか?

監督:北東のニューメキシコです。クレイトンの近く。丘や背の低い草があり、広大な土地が広がってます。

飯星:光と影が美しいです。撮影監督とは、どういう打ち合わせを?

監督:本当は、そういった色を表現できる会場という上映条件で、こだわっていたのですが。
今回、フランスの配給会社からデータが上手く届かなくて、ブルーレイでの上映になって、色の表現が失われてしまって残念です。申し訳ない。
撮影は、クルーが照度計をチェックして、光をコントロールしながら行いました。
クルーは30~40人いて、困難な撮影を一緒に乗り越えてきたので、家族のように親密になりました。

飯星:風の音が印象的です。
音楽担当はマルコ・ベルトラミさん。前作も一緒に仕事をされたそうですね。
今回、ユニークな試みを行ったとか?

監督:マルコは人気作曲家で、親しい友人でもあります。ホラー映画音楽の第一人者です。
インディペンデント映画なので、好きにできました。
ウィンドウ・ピアノといって、山の上にアップライトピアノを置き、6本ピアノ線を引っ張ってきて、空の溜池の中に置いた水のタンクに繋げます。
ピアノとタンクにマイクを設置。チェロの弓でピアノ線を奏でたり、風が吹いて音を鳴らすこともできます。

エンディングにも45秒、風で奏でた曲が入ってます。
マルコとこういったアイデアを出 し合うのは、楽しかったです。

<会場からの質問コーナー>

Q ヒラリーが死ぬ間際まで婚活を頑張っていましたが、トミーと結ばれようとした時、彼女は死を決意していたのでしょうか?

A 本来の色が出ていれば、もっと伝わったと思います。
冒頭、ヒラリーが「いい音楽がなければ生きていけない」と言っています。
19世紀、女性は家庭にいるもの。しかし、ヒラリーは一人で畑を耕して暮らしている。普通の女性はそういうことはしません。
それが死を選んだ理由です。

Q 最後のトミーのダンスと歌が良いです。あれはオリジナルですか?

A オリジナルではなく、古いフォークソングです。
ダンスは、古い絵で描かれたダンスを表現しました。

Q お子さん2人が出演しているそうですね。

A はい。娘と息子が出ています。
終盤にメリル・ストリープに会いに行く道を訊かれて答えているのが娘。
最後、ボートのシーンでバンジョーを弾いてるのが息子です。
息子は音楽のスーパーバイザーもしています。古い時代の音楽を選曲したのが息子です。
それ以外の曲を作曲したのがマルコ。

Q 最後、トミーが西部に行った理由は? ヒラリーの墓標を立てに行くのかと思ったら、流れてしまいましたね。

A 彼は、社会から拒否されて、他に選択肢がないのです。自由を求めて西に行くしかない。

(ヒストリカボランティアリポーター:中 育穂)