登壇者:シュ・ハオフォン監督 飯星景子さん ミルクマン斉藤さん

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監督「武侠とカンフー映画の違いは、武侠は悲劇性の強い物語だということです」

監督「1950年代以降、日本で言うところの武士はいなくなった。武侠というものが、作家の頭の中だけの世界になってしまったのです」

斉藤「シュ監督はご実家が、形意拳という武術家の家で、映画『グランドマスター』では、馬三の技の指導もされています。
   チャン・ツィイーと長ーい電車の前で戦う武術家です」

飯星「血滴子のような組織は、中国の古い小説にも出てくるんですよね?」

監督「幼少期より、皇太子を囲んでサポートします。セミを取る時に使うトリモチが赤い米でできていて、
   そこから血滴子と呼ばれるようになりました。
   彼らは後に特務になり、皇帝に変わって暗殺したり、特殊な情報を集めたりしています」

監督「皇帝も特務を恐れるようになり、別の組織を作って潰させることは、現実の世界にもあることです。
   漢の時代には、特務を潰そうとしていました」

斉藤「『フライング・ギロチン』はあったかもしれない歴史を描いてるんですね。ラストは現代中国のことも言ってるのかもしれません」

飯星「やはり、小説家というのは、反体制のような気持ちはあるものですか?」

監督「梁羽生(リョウウセイ)や金庸(キンヨウ)のような小説家は、中国の英雄になったような気持ちかもしれませんね」

監督「香港映画は、美的感覚は綺麗だが、単調です。私はファンタジーは作りません」

飯星「中国大陸向けには、これから、身近な日常の映画も必要になってくるでしょうね」

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ボランティアスタッフ 中育穂